【接客マインド研修】“高齢者疑似体験”で接客される側の不安と喜びを感じよう!
先日、スマホの買い替えの相談やデータ移行のため、携帯ショップにパソコンを持ち込んでかなり長時間お世話になりました。
担当してくださった若い女性の店員さんもねばり強く、しかも段取りよく対応してくださったのでその日のうちに購入手続きとほとんどの移行作業が店内で完了しました。
ひと昔前の携帯ショップでは考えられない待遇の改善です。素晴らしい!
ところが全体が良くなると気になるものです、
〝粗(あら)〟が…。
その〝粗〟とは、『高齢者対応』です。
作業後半の約1時間、接客カウンターでデータ移行をやらせていただいていた時、私がいる席の隣のパーテーションから別の店員さんとお客さんのやりとりが聞こえてきました。
「だから、お客様が家に帰られてからルーターの番号をチェックしていただいて、それをここに入力すればいいんですよ。」
「…今ここでできないの?」
「そうですね、私では番号はわかりませんから。」
「え、で、家に帰ったら何を見ればいいの?」
「あ? だから、ルーターの…」
「えっ、“ルーター”って?」
「だから、さっき説明しましたよね? お客さまが契約されている…」
お顔こそ確認はしなかったが、声と話し振りから察するにお客の方は年配の男性。
その客に対して、若い男性スタッフは明らかに苛立ちを感じているようでした。
『やっぱり、年配のお客様の対応は難しいのかな。』
そんなことを思いながら、作業を続けてさせてもらっていると今度は高齢の女性が店に入って来ました。
「いらっしゃいませ。番号札をとってお待ちください。」
「…電話の使い方、教えてくれませんか?」
「どういった内容でしょうか?」
「“スマホ”に替えたんだけど、どこをどうしていいかわからなくて…、近くにわかる人もいないし。電話屋さんなら教えてくれると思って。」
「うちは販売と商品の相談はしますが、使い方の説明会は毎日はやってないんですよぉ。」
2〜3分のやり取りの後、その老婦人は店を出て行かれました。
言い方は悪いかもしれませんが、ちょっとあしらうような接客に、私はなんともやるせない気持ちになっていましたが、決められた業務の中ではこの対応も間違ってないのだよ、と自分に言い聞かせてじっとやり過ごすことにしました。
でも、帰宅した後もあの老婦人の声が耳に残り、あのわずかな時間でも もう少し違う対応ができたのではないか。あの後、あのご婦人はどうされたんだろう、としばらく気になっていました。
『あの場ではいち客として、私にできることはなかったかもしれないけど、
接客においては日本中で起こっている現象かもしれない…。とすると、接客側の理解の材料を提供できたら、解決のお手伝いをすることができるかもしれない…!?』
と思い、接客研修の中でできることを考えてみました。
それが、「“高齢者疑似体験”で接客される側の不安と喜びを感じてみよう!」という接客マインド研修です。
昨今、小学校や医療・介護の現場では率先して行われている“高齢者疑似体験”。
視界の狭くなるメガネ、聞こえづらくなる耳栓(またはノイズの聞こえるイヤホン)、
さらには手足の屈曲がしづらくなるサポーターや重りをつけたりして、高齢者の不自由さを体験するものです。
(体験の写真は軍手をしてお箸で豆つかみをしている小学校での体験授業の様子。)
※弘前市社旗福祉協議会さまのホームページよりお借りしました。
▼指先の強張りを再現した軍手。はし箱からお箸を出すのも大変そうです。
私は「サービス介助士」という資格もあるのですが今回ご紹介した研修では、車椅子や身体の介助の方法ではなく、
・視覚情報、聴覚情報を鈍くした時に感じる不安や孤独の体感。
・そして、狭い視界の中で現れる『笑顔』と相手の立場に立ったいたわりの『言葉』を味わう。
そんな体験を実際に、接客従事者の皆さんにしていただくことで、ご自身がされている普段の接客がいかにたくさんの「ハピネス」(幸福感)をお客様に与えているか感じていただこうというものです。
これからますます高齢化は進み、それぞれの現場で様々な対応が必要になると思いますが「高齢者擬似体験」は、身体、発達の障がいのみならず、どんなハンデをお持ちの方にも応用できる接客マインドの基礎となることと思います。
さらに、若い方はもちろん、健常の方としか触れ合う機会しかなかったスタッフ自身にも、「相手の立場に立つ」、「優しさを受け取る」という体験をしていただく良い機会となることと思います。
ぜひ、通常の接客研修に加えて、「高齢者擬似体験」をご検討ください。
▲接客研修における高齢者疑似体験のイメージ
こちらのサイトでできる「擬似体験」もわかりやすいのでリンクを貼らせていただきました。ぜひご体験ください!
【高齢者の見え方、聞こえ方の参考リンク】→明治安田生命グループ介護情報サイト
【野村綾 接客研修のご相談はこちらをご覧ください】